キャットウォークと犬走り2

スタッフブログ 2023.10.23 Mon

こんにちは。設計 村上です。
前回(キャットウォークと犬走り1)に続き、今回は犬走りについてです。

犬走り(いぬばしり)とは、と溝の間や土手の斜面に設けられた細長い通路や平地部分。が通れるくらいの幅しかないという意味合いから呼ばれる。

(出典:Wikipedia)


だそうですが、
”えっと、どの部分?”ってなりますよね。
私はなりました。
どうやら私の知っている犬走りはどうやらウィキペディア的には”軒下の犬走り”という種類に分類されるようです。他にも”築地の犬走り” ”城郭の犬走り” ”土手の犬走り” ”山腹の犬走り” ”線路の犬走り”というものがあり、全5種類あるようです。知らなかったです。

参考画像として、線路の犬走り、築地の犬走り、城郭の犬走りに我が愛犬を合成してみました。
ざっくりいえば、陸上の細い通路は犬走り、高いところの細い通路はキャットウォークと言っていいかもしれませんね。
※写真の犬は合成。キャプションは全て妄想です。

”線路の犬走り” 電車に乗り遅れ、追いかける我が家の愛犬(上)
築地の犬走り”の堀で泳ぎ、怒られた我が家の愛犬(上)
”城郭”の犬走り”まで泳ぎ切り、ご機嫌な我が家の愛犬(上)

上の画像の城郭は今治城。今治城は砂浜の弱い地盤を補強するために犬走りが設けられているそうです。松本城はお堀からすぐ城壁ですし、ほとんどのお城がそんな作りになっているような気がします。忍びのモノが上がってきやすくなりそう。。。とか思うのですが、どうやら今治城の堀は海と繋がっているので潮が満ちてくれば犬走りが隠れるそうです。さすが築城三名人の藤堂高虎が作った城ですね。

さてさて、犬走りの種類が何となくわかったところで、家づくりの方で一番身近な”軒下の犬走り”についてです。


軒下の犬走りって?

犬走りとは、建物の外壁の周囲に施工された、幅1m前後の通路を指します。サイズや施工素材について明確な決まりはないようですが、そもそもは、家を保護する目的で施工されていたもののようです。


「日本家屋にはもともと雨樋がなかったため、雨から家を保護するために設けられるようになったのが犬走りの始まりだといわれています。昔の家は土壁や漆喰(しっくい)壁などの塗り壁が多かったため、犬走りをつくることで泥汚れがつくのを防いでいました。また、汚れを防ぐという目的に加え、昔の木造家屋は土台がむき出しになっているものが多く、雨水などによる基礎部分の腐食を防ぐというも意味もあったようです」

(出展:SUUMO)


雨から家を守るためにつくられることが多かった犬走りは、雨樋のある現代の住宅の場合は必ずしも必要なものではなく、つくらないというケースも少なくありません。限られた予算内で家づくりをする際、予算削減の対象となってしまいがちな犬走りですが、つくることによって得られるメリットもあります。

犬走りのメリット

1.家を守る

雨樋があっても、雨が降ったときの泥はねがゼロになる訳ではありません。現代の住宅においても、犬走りは雨や泥から家を保護する役割を担っています。

犬走りによって雨水や泥を建物から遠ざけることができるということは、家を守ることにつながります。

2 歩きやすくなる

日常的に勝手口からゴミ出しをしたり、敷地の奥に自転車を止めたりするような場合は特に、犬走りを設けておくことで建物周囲を歩きやすくなるというメリットもあります。

3 雑草が生えにくくなる

犬走りはコンクリートや砂利などで地面を覆うため、雑草が生えにくくなります。家の周りに雑草が生えにくくなることで、お手入れがラクになるのはもちろん、家の床下などに害虫などが入ってくることを防ぐ効果もあります。

4 防犯効果を期待できる

犬走りを砂利で施工する場合は、踏むとガリガリと大きな音がする“防犯砂利”を使用すると防犯効果も期待できます。

防犯砂利は見る人が見れば、すぐにそれとわかるので、家を囲む犬走りに防犯砂利がまいてあると、防犯への意識が高いというアピールになり、防犯につながります。

5 外構のデザイン性を高められる

一般的にコンクリートや砂利でつくられることが多い犬走りですが、意匠性にこだわったものをつくることもできるため、エクステリアのデザイン性を高める目的で施工されることもあります。コンクリートの上にタイルやレンガなどを組み合わせて、外構をおしゃれな雰囲気にすることもできます。また、小さなお子さんがいる場合は、手形をスタンプしたり、ビー玉をはめたり、遊び心を加えて楽しむこともできます。

まとめ

お客様から”ドッグラン”作りたいというご要望はあっても、”犬走り”を作りたいという方はほとんどいらっしゃいません。(ちなみに、犬走りは英語でscarcement かbermだそうです。)
林友ホームは外壁廻りの砕石が標準装備、つまり言わなくても勝手に犬走りをつけております。
犬走りは家を守る大切な設備です。庭の大きさや家の環境に合わせて計画したいですね。
コラム並みに長くなってしましました。。。ご拝読ありがとうございます。
最後に、土手の犬走りの写真です。これで全種類の犬走りをコンプリートです。(こちらは合成ではありません)