家の思い出を再利用ー木材や部材を新しい家でどうつかえる?ー

家を建て替えという場合、長年暮らしてきた家や自分が育ってきた家を解体するときの気持ちは複雑ですよね。たくさんの思い出が刻まれている家をできれば残したい気持ちと、解体しなくてはならない事情を抱えてのせめぎ合いもあるかもしれません。
 そんなとき、愛着ある家の一部を、新しい家に取り入れてはいかがでしょうか。その方法として、古い家で使われていた木材や建具を再利用することについて取り上げます。

1.古い家の思い出を生かしたさまざまな例

古い家の材料は、いろいろな形で取り入れることが可能です。弊社で施工したものも含めご紹介します。

1-1 大黒柱をオブジェのようにリビングに

古い家にあった立派な大黒柱。大工さんに埋木してもらい、きれいに磨きあげられました。
新しい家でもシンボル的な存在感を放ちます。

1-2 背え比べした柱を移設

お父さんもおじいちゃんも背え比べした柱。今はお孫さんが背え比べをしています。
家族の思い出を繋ぐ大切な柱もウッディーな雰囲気の中で違和感なくなじみます。

1-3 古い建具を再利用

書院障子と欄間を新しい家の和室で利用。細かな細工が和室に新たなオリジナリティを与えてくれます。

1-4 古い家の硝子で昭和レトロなゆらぎを楽しむ

昭和時代の柄付き硝子。室内ドアや小窓のアクセントとして部分的に取り入れると個性的な表情を楽しめます。今では見る機会が少なくなったさまざまな柄を通して入り込んでくる光の変化を楽しめます。

1-5 鬼瓦をガーデンで利用

古い瓦屋根のお家によくついている鬼瓦。
雨の進入を防ぐという役割もありますが、存在自体に「魔除け」「厄除け」などの意味もあります。

鬼瓦には、「鬼を味方につけておけば、その形相で厄を払ってくれる」という願いも込められているのです。そして、大切な家族を守るために屋根に鬼瓦をつけていたわけです。

現代では瓦葺き自体が減り、鬼瓦をそのまま利用することはほとんどありませんが、
その個性的なデザインを生かし、ガーデンインテリアとして利用してみるのはいかがでしょう。

2 古い家の木材・部材を利用するメリット、デメリット

メリット

・新しい家に重厚感、オリジナリティある風合いを加えられる

・環境にやさしい建築ができる

デメリット

・解体場所から作業場所や保管場所などへの運搬や保管が必要となり、そのための手間や費用が必要となる

・解体では手作業で行う部分が多くなることから、再利用に必要とする木材の量によっては解体費用が高くなる場合がある。

・古い部材を使ってくれる職人を探す必要があり、既製品よりも費用が高くなる

3 まとめ

 古い建物に使われていた木材や建具を再利用することは、思い出や家族の歴史を引き継ぐことにもなります。また、まだまだ使える状態のよいものを引き続き活用することは、循環型社会においては有意義な取り組みでもあります。
 しかし、解体段階から新しい家に建て替える段階において、手間もコストもかかります。その点を十分に検討し、判断することが大切です。