冬の寒さを乗り切る!暖かい家をつくる断熱・気密のポイント

暮らし
2026.11.02 Mon

朝、目覚ましが鳴っても、なかなか布団から出られない。
リビングはぽかぽかなのに、廊下へ一歩出たとたん、ひやっとした空気に包まれる。
お風呂の前の脱衣所では、服を脱ぐのを少しためらってしまう――。

松本・安曇野・塩尻で冬を過ごしていると、こんな朝や夜に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

「信州の冬だから、寒いのは仕方ない」。そう思って、暖房の温度を一度上げてしのいでいる方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、家の中の寒さは、暖房の強さだけで決まるものではありません。
実は、家そのものが熱をどれだけ守れるかによって、同じ冬でも過ごし心地は大きく変わってきます。

その“熱を守る力”を支えているのが、「断熱」と「気密」です。
今回のコラムでは、この地域の冬の寒さを最新のデータで振り返りながら、断熱と気密がどんな役割を持っているのか、そして冬の暮らしにどう関わってくるのかを、できるだけ身近な言葉でお話しします。
これから家づくりを考える方が、打ち合わせで「ここは聞いておきたいな」と思えるポイントも、最後にまとめました。

📝この記事でわかること

  • 松本エリアの冬の寒さと、一般的な住まいの室温の実態
  • 「断熱」と「気密」の違いと、それぞれの役割
  • 冬の暖かさを左右する「窓」「足元」「すき間と換気」のポイント
  • 家の中の温度差を小さくすることが、なぜ大切なのか
  • 家づくりの打ち合わせで確認しておきたいこと

松本・安曇野の冬、家の中はどれくらい寒い?

まずは、私たちが暮らすこの地域の冬が、実際どのくらい冷え込むのかを見てみましょう。

気象庁の観測によると、松本では2026年1月、朝の最低気温の平均がマイナス5.7℃。もっとも冷え込んだ日にはマイナス9.8℃まで下がりました。
例年の値(平年値)と比べても、朝の冷え込みはやや厳しめの冬だったことがわかります。

2026年1月の松本朝の最低気温(月平均)・・-5.7℃

2026年1月の松本もっとも冷え込んだ日・・-9.8℃  

冬の居間が18℃以上を保てている住まい(全国調査)・・約1割  

出典:気象庁「過去の気象データ検索 松本 2026年(月ごとの値)」/同「松本 平年値(1991〜2020年)」/国立研究開発法人 建築研究所「令和4年度 建築研究所講演会 資料(2023年2月)」(国土交通省 スマートウェルネス住宅等推進調査のデータ)

では、外がこれだけ冷え込むとき、家の中はどうなっているのでしょうか。
国土交通省の補助事業として全国約2,200世帯で行われた室温の調査では、冬の在宅中に居間の平均室温が18℃以上を保てていた住まいは、わずか1割ほど。脱衣所にいたっては平均13.0℃という結果でした。
この「18℃」という数字は、世界保健機関(WHO)が冬の室温の目安として勧めている温度です。


つまり、多くの住まいでは、暖房をつけているはずのリビングでさえ、少し肌寒い状態で冬を過ごしているということになります。外の寒さが厳しいこの地域では、その差がよりはっきりと暮らしに表れやすいのです。

では、どうすれば冬でも暖かさを保てる家になるのでしょうか。

そこで出てくるのが、「断熱」と「気密」という2つの言葉です。

「断熱」と「気密」、それぞれの役割

住宅の話になると、よく耳にするこの2つの言葉。
なんとなく似たように聞こえますが、実は役割が少し違います。冬の服装にたとえてみると、ぐっとイメージしやすくなります。

断熱気密
ひとことで言うと熱を伝わりにくくすることすき間を少なくすること
服装にたとえると厚手のセーターその上に羽織る、風を通さない上着
足りないと…壁や窓がひんやりして、暖房の熱が外へ逃げていくすき間風が入り、足元が冷える。暖めた空気も漏れていく
家づくりで関わる部分断熱材の種類・厚み、窓の性能など施工の丁寧さ、すき間の処理、気密測定など

※わかりやすさを優先した、イメージとしての整理です。

どんなに暖かいセーターを着ていても、冷たい風が吹きつければ体はすぐに冷えてしまいますよね。
反対に、風を通さない上着を羽織っていても、中が薄着のままでは寒さはしのげません。家もこれと同じで、断熱と気密がそろってはじめて、暖かさが長続きするのです。

もうひとつ、知っておくと家づくりの見え方が少し変わるポイントがあります。
断熱は「どんな材料を、どれだけ使うか」で決まる部分が大きいのに対し、気密は「現場でどれだけ丁寧に施工したか」に左右されやすいということ。図面の上では同じ仕様でも、仕上がり次第で暖かさに差が生まれる場合があるのです。そのため、完成前に専用の機械で家のすき間の量を測る「気密測定」を行っている住宅会社もあります。





断熱と気密の役割がなんとなく見えてきたところで、次は「では、家のどこに気を配ればいいの?」というお話に進んでみましょう。

冬の暖かさを左右する3つのポイント

家全体の暖かさは、たくさんの工夫の積み重ねでできています。その中でも、冬の暮らしで特に違いを感じやすいのが、「窓」「足元」「すき間と換気」の3つです。

① 熱がいちばん逃げやすいのは「窓」

冬に暖房で温めた熱は、家のどこから逃げていくのでしょうか。資源エネルギー庁によると、冬の暖房時に室内から逃げ出す熱の約6割が、窓などの開口部から出ていくとされています。
壁や屋根よりも、窓のほうがずっと熱を通しやすいのです。

出典:資源エネルギー庁「省エネポータルサイト 省エネ住宅」
※住宅の条件によって割合は変わる目安の値です

窓の性能は、ガラスの枚数(ペアガラスやトリプルガラス)や、サッシと呼ばれる窓枠の素材によって大きく変わります。窓まわりがひんやりしにくくなると、窓辺のソファでくつろぐ時間や、日だまりで子どもが遊ぶ時間も、ぐっと心地よいものになります。
さらに、窓の表面が冷えにくくなることで、冬の悩みのひとつである結露も起こりにくくなります。

雪の積もった朝。カーテンを開けると、窓ガラスに水滴はなく、外の真っ白な景色がくっきりと見える。
窓辺に置いたマグカップのコーヒーから、ゆっくりと湯気がのぼっていく――そんな静かな休日の朝。

② 足元の冷たさは「床」と「空気の動き」で変わる

窓の次に気になるのが、足元です。「エアコンをつけているのに、足だけがいつまでも冷たい」という経験はありませんか。

暖かい空気は上へ、冷たい空気は下へたまる性質があります。
そのため、すき間が多かったり、床下の断熱が弱かったりすると、顔のあたりは暖かいのに足元は冷たい、というちぐはぐな状態が起こりやすくなります。
床下の断熱をしっかり行い、すき間を減らしていくことで、部屋の上と下の温度差は小さくなっていきます。

そしてもうひとつ、意外と見落とされがちなのが、床材そのものの触れたときの感触です。無垢材は木の中にたくさんの空気を含んでいるため、素足で触れても冷たさを感じにくいのが特長です。
冬の朝、スリッパを探さずにそのまま歩き出せる床は、毎日の小さな心地よさにつながっていきます。

③ すき間をなくしたうえで「計画的に換気する」

ここまで読んで、「すき間をなくしたら、空気がこもって息苦しくならないの?」と感じた方もいるかもしれません。私たちも、家づくりのご相談の中でよくいただく疑問です。

実は、すき間が多い家ほど、空気の出入りは風向きや天気まかせになってしまい、きちんと換気できているかどうかがかえってわかりにくくなります。
気密を高めた家では、換気の設備によって「どこから新しい空気を入れて、どこから出すか」を計画的に整えます。新鮮な空気を取り込みながら、暖めた室内の熱をできるだけ逃がしにくい換気の方式もあります。

すき間を減らすことと、換気をしっかり計画すること。
この2つは相反するものではなく、セットで考えることで、暖かさと空気の心地よさを両立できると捉えていただくとよいかもしれません。

家の中の「温度差」を小さくすることが大切な理由

ここまで、家の暖かさを支えるポイントを見てきました。最後にもうひとつお伝えしたいのが、「リビングが何℃か」と同じくらい大切な、部屋と部屋の温度差のお話です。

暖かいリビングから、ひんやりとした廊下や脱衣所へ移動したとき、私たちの体は急な温度の変化にさらされます。消費者庁は、冬場の入浴について毎年注意を呼びかけており、令和6年には浴槽での溺死・溺水によって7,776人が亡くなり、そのうち約95%が65歳以上だったと公表しています。
事故を防ぐための工夫のひとつとして挙げられているのが、「前もって脱衣所や浴室を暖めておき、温度差を減らすこと」です。

出典:消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」(2025年12月)

「まだ若いから、自分にはあまり関係ないかな」と感じる方もいらっしゃるでしょう。けれど、家は何十年と暮らしていく場所です。冬に泊まりに来るご両親のこと、そしていつか年齢を重ねていく自分たちのことを思い浮かべると、家じゅうの温度差が小さい住まいは、長く安心して暮らすための土台にもなってくれます。

お正月、実家から両親が泊まりに来た夜。お風呂上がりの母が「この家は脱衣所まで暖かいのね」とほっとしたように笑う。廊下に出るたびに身構えなくていい家は、迎える側の気持ちにも、少しのゆとりをくれる。

家全体の温度差を小さくするためには、断熱と気密で「熱を逃がしにくい家」をつくったうえで、暖房の方法や間取り(廊下や水まわりの配置、吹き抜けの取り入れ方など)もあわせて考えていくことが大切です。

家づくりの打ち合わせで確認しておきたいこと

ここまでのお話を踏まえて、これから家づくりを考える方が、住宅会社との打ち合わせで聞いておくと安心なポイントを表にまとめました。難しい数字をすべて理解する必要はありません。「この家で、冬をどんなふうに過ごせるのだろう」とイメージを膨らませながら、ひとつずつ確認してみてはいかがでしょうか。

確認したいこと聞き方の例暮らしとの関わり
窓の仕様「窓のガラスとサッシはどんな種類ですか?」窓辺の冷え・結露の出やすさ
床・壁・天井の断熱「足元の寒さ対策はどうなっていますか?」素足で過ごせるか、上下の温度差
気密への取り組み「気密測定は行っていますか?」すき間風、暖房の効き
換気の方式「どんな換気の仕組みですか?」空気のきれいさと、熱の逃げにくさ
暖房と間取りの考え方「脱衣所や廊下は冬に何℃くらいになりそうですか?」家じゅうの温度差、入浴時の安心感

※ここで挙げた項目は一例です。土地の条件やご家族の暮らし方によって、優先したいポイントは変わります。

もし機会があれば、冬の時期に完成見学会やモデルハウスを訪れてみることもおすすめします。
数字だけではわからない「足元の感触」や「部屋を移動したときの温度の変わり方」を、実際に自分の体で確かめられるのは、この季節ならではです。

📝この記事のポイントまとめ

  • 2026年1月の松本は、朝の最低気温が平均マイナス5.7℃。全国的に見ても、冬の居間を18℃以上に保てている住まいは約1割にとどまります
  • 「断熱」は熱を伝えにくくすること、「気密」はすき間を少なくすること。2つがそろってはじめて、暖かさが長続きします
  • 冬の暖かさは「窓」「足元(床)」「すき間と換気」で差が生まれやすく、特に窓からは暖房の熱の約6割が逃げるとされています
  • 部屋ごとの温度差を小さくすることは、快適さだけでなく、長く安心して暮らすことにもつながります
  • 打ち合わせでは、数字だけでなく「冬にどう暮らせるか」を一緒にイメージしてみてはいかがでしょうか

おわりに

冬の朝、布団からすっと起き上がれる。家族がリビングだけでなく、それぞれの場所で思い思いに過ごせる。
そんな「当たり前の暖かさ」は、目に見えない壁の中や床の下、窓まわりのひと工夫によって、静かに支えられています。

断熱や気密は、家が完成してしまうと見えにくくなり、あとから手を加えるのも簡単ではない部分です。

だからこそ、家づくりのはじめの段階で「わが家では、どんな冬を過ごしたいか」を思い描いてみること。それが、長く心地よく暮らせる住まいへの、最初の一歩になるのではないでしょうか。

信州の冬を、家じゅう暖かく過ごせる住まいを一緒に考えてみませんか

林友ホームでは、松本・安曇野・塩尻の気候に合わせた断熱・気密や、冬も心地よい家づくりのご相談を承っています。 「今の家の寒さ、新築ならどこまで変わる?」「無垢の床は冬でも冷たくない?」など、 まずはお気軽にお声がけください。

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※本記事の気温データは気象庁の観測値(2026年1月)および平年値(1991〜2020年)、室温データは国土交通省スマートウェルネス住宅等推進調査の全国調査結果(建築研究所 講演会資料、2023年2月)、熱の逃げる割合は資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」、入浴事故のデータは消費者庁の公表資料(2025年12月)に基づきます。熱の逃げる割合などは目安の値であり、実際の室温や暖かさは、建物の仕様・立地・間取り・暖房方法・暮らし方によって異なります。掲載情報は2026年10月時点のものです。

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